IVF治療で使われる薬の全体像
体外受精のプロセスは複数の薬剤を組み合わせて進められます。各薬の役割を理解しておくと、治療への不安が軽減され、副作用への対処もスムーズになります。
Phase 1: 前処置(下垂体抑制)
GnRHアゴニスト(長期プロトコル)
- 代表薬: ブセレリン(スプレー)、リュープロレリン(注射)
- 目的: 脳下垂体を一時的に抑制し、自然排卵を防ぐ
- 使用期間: 採卵周期の前月の高温期から約2–3週間
- 副作用: 更年期様症状(ほてり、気分の変化)、頭痛
GnRHアンタゴニスト(拮抗剤プロトコル)
- 代表薬: セトロレリクス(セトロタイド)、ガニレリクス(オルガルトラン)
- 目的: 排卵誘発中に早期排卵を防ぐ(採卵直前まで)
- 使用期間: 刺激開始から採卵まで(通常5–7日間)
- 副作用: 注射部位の軽い腫れ・かゆみ
韓国でのトレンド: PCOS患者や卵巣予備能が高い方にはアンタゴニスト+GnRHaトリガー(hCGの代わり)が標準になりつつあります。
Phase 2: 排卵誘発(卵巣刺激)
FSH製剤(卵胞刺激ホルモン)
| 薬剤名 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| ゴナールF | rFSH(遺伝子組換え) | 安定した品質・自己注射ペン |
| ピュアゴン | rFSH | 同上、微調整しやすい |
| メノピュール | hMG(FSH+LH) | 低反応患者に追加LH効果 |
| フォリスチム | rFSH | 使いやすいペン型 |
用量: AMH・AFC・前回の反応性に基づいて個別設定(通常75–300IU/日)
注意点:
- 自己注射の場合、冷蔵保管が必要(一部製品は開封後常温可)
- 同じ時間帯に注射する習慣をつける
- 薬剤変更や用量調整は主治医の指示に従う
Phase 3: 最終卵子成熟(トリガー注射)
hCG製剤(従来型)
- 代表薬: オビドレル(プレフィルド)、プレグニール(バイアル)
- タイミング: 採卵34–36時間前に1回のみ投与
- 注意: 注射時間の厳守が必要(±30分以内)
GnRHアゴニストトリガー(PCOS・高反応患者向け)
- 目的: OHSSリスクを大幅に減らす
- 条件: アンタゴニストプロトコル使用中のみ有効
- 注意: 全胚凍結が必要(黄体機能が弱まるため新鮮移植は不可)
Phase 4: 移植前後の黄体補充
プロゲステロン(黄体ホルモン)
移植後の最重要薬剤です。自己判断で中断は絶対禁止。
| 剤型 | 代表薬 | 特徴 |
|---|---|---|
| 膣座薬/ゲル | クリノン、ユートロゲスタン | 局所作用・全身副作用少ない |
| 筋肉注射 | プロゲステロン注射 | 確実な吸収・痛みあり |
| 経口 | デュファストン(ジドロゲステロン) | 内膜への作用は弱め |
韓国での主流: 膣座薬+筋肉注射の併用が多い
副作用: 腹部膨満感、眠気、情緒不安定、乳房の張り(すべて正常反応)
エストロゲン製剤(凍結胚移植で必須)
- 目的: 子宮内膜を厚くする(8mm以上を目標)
- 代表薬: プロギノバ(内服)、エストラーナ(パッチ)
- 使用期間: 移植約14日前から開始
薬の管理と注意点
| 項目 | 確認事項 |
|---|---|
| 保管温度 | 冷蔵(2–8°C)のものと常温のものを確認 |
| 輸送 | 自国への持ち帰りは保冷バッグを使用 |
| 廃棄 | 使用済み注射器は医療廃棄物として処理 |
| 重複使用厳禁 | プレフィルドシリンジは1回のみ使用 |
| 副作用報告 | 激しい腹痛・呼吸困難は即時連絡 |
よくある質問
Q. 韓国で処方された薬は日本に持ち帰れますか?
治療に必要な量(治療期間分)は個人使用目的として携帯可能です。注射剤は航空会社に申告し、保冷対応で持ち帰ってください。大量輸入は別途規制があります。
Q. 副作用が心配です。どの症状は正常で、どの症状が危険ですか?
軽度の腹部膨満感、気分の変化、注射部位の腫れは正常です。激しい腹痛、急激な体重増加(24時間で2kg以上)、呼吸困難は即時受診が必要です。
Q. 日本のクリニックと韓国のクリニックで薬の名前が違います
同じ成分でも商品名が異なることが多いです。処方箋には成分名(一般名)も記載してもらうと、自国クリニックとの連携がスムーズです。
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医療免責事項: 本ガイドは参考情報です。具体的な薬の使用方法は主治医の指示に従ってください。